焼肉屋さんで大人気の「ハラミ」。
そのハラミを切り出す際に出てくる「ハラミスジ」という部位をご存知でしょうか?
精肉店や業務用スーパーの片隅で、驚くほど安く売られているこのお肉。
「スジ」という名前から、「硬くて噛み切れないのでは?」「料理が大変そう」と、つい素通りしてしまう方も多いかもしれません。
しかし、実はハラミスジは、正しく扱えばハラミ特有の濃厚な旨味を存分に味わえる「コスパ最強の隠れお宝部位」なのです。
本記事では、ハラミスジの正体から、失敗しない下処理、そして家族が泣いて喜ぶ絶品レシピまで、そのポテンシャルを最大限に引き出す方法を徹底解説します。
ハラミスジとは?なぜ「安くて美味しい」の?
まず、ハラミスジが一体どのようなお肉なのか、その正体を紐解いていきましょう。
ハラミの美味しさを守る「膜」の部分
ハラミスジとは、牛の横隔膜(ハラミ)の表面を覆っている白い膜状の部分を指します。
焼肉として食べられる柔らかなハラミは、このスジを丁寧に取り除いた後の状態です。
「スジ」なのに肉の味が濃い理由
ハラミスジの最大の特徴は、「ただのスジではない」という点にあります。
職人がハラミを綺麗に整える際、どうしてもスジの裏側には、ハラミ本来の赤身肉がわずかにくっついて残ってしまいます。
つまり、ハラミスジとは、
この2つがセットになった状態なのです。
そのため、アキレス腱などの一般的な牛スジに比べて、お肉としての香りが非常に強く、噛むほどにハラミ特有のコク深い味わいが溢れ出します。
【実践】ハラミスジの下処理完全ガイド
ハラミスジを美味しく食べるために、最も重要なのが「下処理」です。
ここを丁寧に行うことで、独特の硬さや臭みが消え、高級店のような仕上がりになります。
ステップ1:脂と肉の状態を確認
パックから出したハラミスジを観察してみましょう。
白い部分が目立ちますが、その間に赤いお肉が張り付いているのが分かります。
この「赤い部分」は旨味の塊なので、できるだけ残すようにします。
ステップ2:硬い部分を整理する
- 余分な脂を除く: 表面についている黄色っぽい脂の塊は、臭みの原因になることがあるので、包丁で軽く削ぎ落とします。
- 包丁の入れ方: 特に厚みがあって硬そうな白い部分は、包丁を寝かせて薄く削ぎます。このとき、お肉を切り離しすぎないようにするのがコツです。
ステップ3:大きめにカット
お肉は加熱するとギュッと縮みます。
完成時にちょうど良い大きさになるよう、少し大きめ(3〜4cm角)にカットしておきましょう。
圧力鍋なしでもトロトロ!柔らかくする3つの裏ワザ
「スジ肉は何時間も煮込まないと柔らかくならない」と思っていませんか?
実は、ちょっとした工夫で調理時間を短縮できます。
- 「水から」茹でこぼす: 最初にお湯を沸かすのではなく、水と肉を一緒に鍋に入れて火にかけます。沸騰してアクが出てきたら5分ほど煮て、一度お湯をすべて捨てて肉を洗いましょう。これで不純物が抜け、味が染み込みやすくなります。
- 炭酸水の力: 煮込む際の水分に「無糖の炭酸水」を混ぜてみてください。炭酸ガスがお肉の繊維を優しくほぐし、普通の鍋でも短時間で柔らかくなります。
- 味付けの順番を守る: お肉が硬くなる最大の原因は、最初から醤油や塩を入れてしまうことです。まずは水だけで「お肉が箸で切れるくらい」まで煮込み、最後の仕上げに調味料を加えるのがプロの鉄則です。
家族が絶賛する!ハラミスジの絶品レシピ3選
旨味爆発!ハラミスジの濃厚土手煮
ハラミスジの脂の甘みは、お味噌との相性が抜群です。
- 作り方: 下ゆでした肉を大根、こんにゃくと共に、赤味噌、砂糖、みりんでコトコト煮込みます。
- 魅力: スジの部分がプルプルのゼラチン質に変わり、ハラミ肉の旨味が溶け出したお汁は、白米にかけると最高のご馳走になります。
名店の味!ハラミスジの欧風カレー
お肉から出る濃厚な出汁で、家庭のカレーが劇的にランクアップします。
- 作り方: 飴色に炒めた玉ねぎとハラミスジをじっくり煮込みます。
- ポイント: スジから溶け出したコラーゲンが、ルーに高級感のあるとろみとコクを与えてくれます。
さっぱり絶品!ハラミスジのネギポン酢
下ゆでしたスジを薄くスライスし、たっぷりのネギとポン酢で。
- 魅力: コリコリ、プルプルとした独特の食感が楽しめ、お酒のおつまみに最適です。
【Q&A】ハラミスジのよくある疑問を解決!
Q1:ハラミスジはどこで買えますか?
A: 一般的なスーパーの精肉コーナーには並びにくいですが、精肉専門店や業務用スーパー(肉のハナマサ、業務スーパーなど)ではよく見かけます。「ハラミスジありますか?」とお店の人に聞くと、裏から出してくれることもあります。
Q2:下処理した後の白い部分は食べられますか?
A: はい、もちろんです!白い部分は煮込むことでトロトロのゼラチン質に変わります。ここはコラーゲンの宝庫ですので、ぜひ捨てずに料理に活用してください。
Q3:お肉の臭みが気になります。
A: 茹でこぼした後に、お肉を「ぬるま湯」で丁寧に洗うのがコツです。水だと脂が固まって臭みを閉じ込めてしまいますが、ぬるま湯なら汚れを綺麗に落とせます。
Q4:冷凍保存はできますか?
A: 可能です。下ゆで(茹でこぼし)まで済ませた状態で、1回分ずつラップに包んで冷凍しておけば、使いたい時に凍ったまま鍋に入れられるのでとても便利です。
まとめ:知っている人だけが得をする「ハラミスジ」の魅力
ハラミスジは、一見すると「白くて硬そうなスジ」ですが、その実態はハラミの旨味をギュッと閉じ込めた最高のエキスパート食材です。
少しの手間をかけるだけで、安いお肉がレストラン級の一皿に変わる。
その感動を一度味わえば、もう普通の牛スジには戻れないかもしれません。
次にお肉屋さんに行ったときは、ぜひこの「ハラミスジ」を探してみてください。
あなたの食卓に、新しい美味しさと驚きが加わるはずです。